A02班:心・身体・社会をつなぐアート/技術
班構成
- 研究代表者
- 松本 直子(岡山大学大学院社会文化科学研究科・教授)
- 研究分担者
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石村 智(独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所無形文化遺産部・室長)上野 祥史(国立歴史民俗博物館・准教授)
佐藤 悦夫(富山国際大学現代社会学部・教授)
工藤 雄一郎(学習院女子大学国際文化交流学部・准教授)
桑原 牧子(金城学院大学文学部・教授)
中園 聡(鹿児島国際大学国際文化学部・教授)
松本 雄一(山形大学人文社会科学部・准教授)
- 研究協力者
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石井 匠(国立歴史民俗博物館・研究員)
猪風来(猪風来美術館)
蒲池みゆき(工学院大学情報学部・教授)
リリアナ・ヤニック(ケンブリッジ大学ガートン・カレッジ・研究副主任)
平川ひろみ(鹿児島国際大学・非常勤講師/奈良文化財研究所・客員研究員)
太郎良真妃(鹿児島国際大学・大学院博士後期過程)
ジョセフ・ライアン(岡山大学大学院社会文化科学研究科・助教)
研究目的
ヒトが生み出す物質文化には、身体機能の拡張を果たす技術と、感性や価値観にうったえてヒトの心を動かす芸術という二つの側面がある。本計画研究では、「アート」として包括されるその両面が身体を介して統合される様相に焦点を当て、日本列島、メソアメリカ、アンデス、オセアニアにおけるアートの生成と変容の特性を比較検討する。アート(技術・芸術)によるヒトの人工化/環境のヒト化という現象を、考古学的・人類学的・心理学的に分析することにより、社会固有のリアリティ(行動の基準となる主観的事実)が形成される歴史的プロセスを解明し、新たな人間観・文化観を提示することを目的とする。
これまで概念的に切り分けられてきた心と物質がどのような相互作用によって文化を生み出すのかを考えるには、人間の身体と行為に焦点を当て、①生物学的決定論にも極端な文化相対主義にも陥らず、生物としてのヒトと、人間が生み出す文化的多様性を一体として捉える研究視点、②現代科学の基盤となってきた心身二元論、物心二元論的な枠組みを超えて、モノと心と身体が緊密に絡み合った一つのシステムとしてその変化を考察する研究視点が必要である。本研究は、3D計測や蛍光X線分析など科学的分析も多用しつつ、他班との緊密な連携のもと、身体的機能を拡張する技術的側面と、象徴やメタファーを喚起し感性に訴えて心を操作する芸術的側面とを、「アート」として統合的に分析し、物質文化が人間にどのような力を及ぼすかを検討する。