A03班:集団の複合化と戦争
班構成
- 研究代表者
- 松木 武彦(国立歴史民俗博物館・教授)
- 研究分担者
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市川 彰(名古屋大学人類文化遺産テクスト学研究センター・共同研究員)
佐々木 憲一(明治大学文学部・教授)
寺前 直人(駒澤大学文学部・准教授)
橋本達也(鹿児島大学総合研究博物館・教授)
比嘉 夏子(北陸先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科・助教)
藤澤 敦(東北大学学術資源研究公開センター・教授)
渡部 森哉(南山大学人文学部・教授)
- 研究協力者
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青山 和夫(茨城大学人文社会学部・教授)
長岡 拓也(NPO法人パシフィカ・ルネサンス代表理事)
岡安光彦(一般社団法人PLUSULTRA・代表理事)
山本正昭(沖縄県立博物館・美術館)
エリザベス・アーカッシュ(ピッツバーグ大学人類学科・准教授)
ヒューゴ・シーザー・イケハラ・ツカヤマ(チリ・ポンティフィシア・カトリカ大学人類学科・准教授)
研究目的
本研究の目的は、ヒトが入れ子状に階層化する多数の集団が複合した巨大な社会(国家など)を生み出したメカニズムとプロセスを、戦争という事象を通じて解明することである。ヒトという生物にのみ見られるこのような集団の複合化は、本領域研究が解明を目指す「文明創出」と軌を一に生じ、その根本をなす事象として重要である。そして、この集団の複合化という事象には、必ず戦争が伴う。戦争には、武力による征服によって集団間の統合を促す外的・物理的側面だけではなく、戦争という状況の演出によって集団内のアイデンティティを強化し、その操作を通じて強化された権力によって急速な階層化が進むという内的・認知的側面とがある。
本研究は、これまで重視されてこなかった後者に力点を置き、前者との相互関係を注視しながら、戦争に関わる人工物(考古資料)の時系列化とその地域比較によって、ヒト社会における戦争と社会複合化の相補的プロセスを復元する。さらに、B02 認知科学班などと共同して、ヒトの認知と身体がどのようにして戦争という現象を生み、それを媒介に、どのような認知と進化のメカニズムが、集団の複合化と、それによるヒト特有の巨大社会を実現したのかを明らかにする。このメカニズムの提示をもって、本研究は、本領域研究が目的とする文明創出メカニズムの解明に寄与し、この新しい学術領域から、「人類にとって戦争とは何か」という問いに答えを用意することを最終目的とする。