B01班:民族誌調査に基づくニッチ構築メカニズムの解明
班構成
- 研究代表者
- 大西 秀之(同志社女子大学現代社会学部・教授)
- 研究分担者
-
稲村 哲也(放送大学教養学部・特任教授)
河合 洋尚(東京都立大学人文社会学部・准教授)
木村 友美(大阪大学大学院人間科学研究科・講師)
清水 展(関西大学政策創造学部・特別任用教授)
須田 一弘(北海学園大学人文学部・教授)
山内 太郎(北海道大学大学院保健科学研究院・教授)
- 研究協力者
-
池谷 和信(国立民族学博物館人類文明誌研究部・教授)
梅﨑昌裕(東京大学大学院医学系研究科・教授)
後藤正憲(農林水産政策研究所・政策研究調査官)
清水 郁郎(芝浦工業大学建築学部・教授)
スチュアート ヘンリ(本多俊和)(放送大学教養学部・元教授)
山本紀夫(国立民族学博物館・名誉教授)
ミゲール・アギレラ(アリゾナ州立大学歴史・哲学・宗教学部・准教授)
- 事務担当者
- 佃 麻美(同志社女子大学学術研究支援課・研究支援員)
研究目的
本研究では、「出ユーラシア」後の新天地である南北アメリカ大陸と南太平洋(オセアニア)地域及び、通過経路にあたる北東アジア高緯度(寒冷)地域と東南アジア沿岸・島嶼部を対象とし、当該地域における先住民社会を主要な対象として民族誌調査を行い、現生人類が獲得した認知・行動能力の多様性を明らかにする。具体的には、まず「身体」と「景観」に焦点を当て、当該地域に適応するため各集団が保持している生存戦略を、身体生理基盤から知識/技術体系さらには超自然的世界観までを射程に入れ追究する。その上で、本研究では、生存戦略に関連して創出された道具・構造物や環境改変などの人工空間から、信仰体系やコスモロジーなどの象徴世界までを、個人から集団に至る人間の身体が構築する自然/文化景観が混淆した「環世界」と位置づけ、その中で育まれ獲得された固有の認知・行動様式を明らかにする。
以上のような目的の下、本研究では、各メンバーがそれぞれのテーマ、方法、ディシプリンに基づき、担当する調査地において民族誌調査を実施し、当該地域に暮らす人々の認知や行動に関する基礎データを収集する。また現地調査では、当事者の発話のみならず、文化的実践を構成する身体の生理的側面や景観の物理的側面などの記述と理解を重視する。 他方で、本研究では、各地域やテーマなどに個別分断された調査研究に陥る危険を避けるため、各メンバーは自らの専門性や役割に囚われず、基礎データとして当該地域に適応するため各集団が保持している生存戦略を、身体生理基盤から知識/技術体系さらには超自然的世界観までを射程に入れ、それに関係する身体活動や発話行為及び、物理的側面から象徴的側面までの景観を記録し把握に努める。このような研究を通して、出ユーラシアにより多様な自然環境に進出・適応を果たすとともに、文明形成の基盤となった現生人類のニッチ構築の能力を追究する。