文部科学省 科学研究費助成事業
新学術領域研究(研究領域提案型) 2019年度~2023年度

出ユーラシアの統合的人類史学 - 文明創出メカニズムの解明 -

計画研究

A01班:人工的環境の構築と時空間認知の発達

班構成

研究代表者
鶴見 英成(東京大学総合博物館・助教)
研究分担者
後藤 明(南山大学人文学部・教授)
笹生 衛(國學院大学神道文化学部・教授)
杉山 三郎(愛知県立大学・名誉教授/アリゾナ州立大学・研究教授)
関口 和寛(国立天文台光赤外研究部・教授)
野嶋 洋子(国立民族学博物館学術資源研究開発センター・外来研究員)
北條 芳隆(東海大学文学部・教授)
光本 順(岡山大学大学院社会文化科学研究科・准教授)
山口 徹(慶應義塾大学文学部・教授)
山本 睦(山形大学人文社会科学部・准教授)
研究協力者
井上 幸孝(専修大学国際コミュニケーション学部・教授)
片岡 修(上智大学附置研究所・客員教授)
鈴木 真太郎(岡山大学大学院社会文化科学研究科・講師)
清家 章(岡山大学大学院社会文化科学研究科・教授)
山口 雄治(岡山大学埋蔵文化財調査研究センター・助教)
ネリー・ロブレス(メキシコ国立歴史人類学研究所・上級研究員)

研究目的

ユーラシア大陸を出たヒト集団は、旧人の遺産のない「フロンティア」において、どのようにヒト特有のニッチ(生態的地位)を構築したのであろうか。多様な地理的環境において、文明化によって生物史上稀に見る繁栄に至ったプロセスを、ヒトが作り出す人工的環境に見られる諸特性を中心に解析・比較研究し、時空間認知の発達の過程という観点から説明するのが本研究班の役割である。とくに人工的環境を大きく規定するモニュメントや都市の形成について、南北アメリカ大陸、日本、オセアニアにおいて現地調査によるデータ収集を進め、さらに文献調査を加えて、実証的に論考する。また天文学との連携により、改変可能な地上の環境のみならず、人為の及ばない天体を要素に含めた総合的な景観と、暦に見られる時間認知の発達について考察する。

各地のモニュメントにおいて、様々な問題意識のもとに測量・踏査・発掘などの現地調査を実施する。メソアメリカ(主にメキシコ)では、文明の形成期から都市国家群の隆盛に至る、きわめて大規模な都市空間の中核部から周縁部、周囲の地形までを対象に、その設計の背景にある時空間認知の特性を探る。南米アンデス(ペルーとエクアドル)では神殿建築や行政センターなどを調査するにあたり、オアシス・高原・多雨といった自然環境との関係を視野に入れつつ俯瞰的に比較していく。オセアニアでは、航海術や暦に顕れる天体への関心と、首長制の発達を背景としたミクロネシアやポリネシアの巨石建築群の生成発展の過程を解明し、あわせて首長制の発達しなかったメラネシアの事例とも比較する。モニュメント建築には埋葬を伴う事例も多く、祖先の社会的記憶が景観の形成に大きく関与したと考えられるが、とくに日本では古墳群の景観分析や埋葬施設の地下探査に加え、豊富な資料の蓄積をもとにして埋葬・遺体のデータベースを作成するとともに、近世までの寺社や城郭まで視野に入れて列島規模での時空間認知の特徴を考察する。

共通の分析方法として、LiDARによって上空から精密で広範囲な測量を実施して、モニュメントを中核としていかに土地が利用されていたかを検証すること、また古代の天体運行を正確に計算する天文シミュレータを開発し、測量による3Dモデルとあわせて景観の総体的な把握を図ることが挙げられる。